お客様の課題
- 音楽教室で紙ベースのレッスンカルテを使用していたが、記入内容が統一されていない、音楽教室会員と十分に共有できていない、音楽教室会員の個人練習の状況が把握できていないといった課題を抱えていた。
対応と結果
- 個人練習の記録やレッスンカルテの閲覧が可能な音楽教室会員向けのスマートフォンアプリを開発。また、レッスンカルテの登録や音楽教室会員の個人練習の記録を閲覧できるレッスン指導者向けのアプリなどを開発し、インフラ構築からアプリ開発、UI/UX 設計、デザインまでをワンストップでご支援。
島村楽器株式会社様(以下、島村楽器様)は、音楽教室会員向けのスマートフォンアプリ「島村楽器 音楽日記」を提供されています。本サービスの音楽教室会員向けアプリ・レッスン指導者向けアプリの開発をアイレットが支援させていただきました。
先生と生徒のコミュニケーションをスマートフォンアプリで高度化。レッスンカルテアプリを開発
島村楽器様は「音楽の楽しさを提供し、音楽を楽しむ人を一人でも多く創る」という理念のもと、全国180拠点に店舗・音楽教室を展開し、日本有数の音楽教室運営会社として音楽と人をつなぐ機会を創出しています。
同社の音楽教室では紙ベースのレッスンカルテを使用していましたが、記入内容が統一されていない、音楽教室会員と十分に共有できていない、音楽教室会員の個人練習の状況が把握できていないといった課題を抱えていました。そこで、レッスン指導者によるレッスンカルテの記入内容の統一化、レッスンカルテの音楽教室会員との共有、個人練習の支援による音楽教室会員の練習意欲向上を目的として、音楽教室会員向けのスマートフォンアプリの開発を計画。開発パートナーとしてアイレットにお声がけいただきました。
本プロジェクトで開発したのは、個人練習の記録や過去に受けたレッスンカルテの閲覧が可能な音楽教室会員向けのスマートフォンアプリ、レッスンカルテの登録や音楽教室会員の個人練習の記録を閲覧できるレッスン指導者向けのアプリ、会員情報や各種マスタの管理、お知らせ情報の登録などができるアプリの管理画面、および2種類のアプリとクラウドを通信するための API 開発。インフラ構築のみならず、アプリ画面の UI/UX の設計・デザインもアイレットが担当させていただきました。
インフラ構築は品質とコストの最適解をご提案。デザインは手書き入力画面を設計し、現場での使いやすさに配慮
本プロジェクトでは Google Cloud を利用することが要件定義に含まれていたため、設計段階から Google Cloud に最適化されたソリューションを開発することを目指しました。
インフラ構築で注力したのは、安全性と高負荷を考慮しながら、コストパフォーマンスにも優れた構成を実現すること。当初は Cloud Spanner と Cloud Functions による構成を検討していましたが、さらなるコスト最適化の余地を検討し、Cloud SQL と Cloud Run を使用する構成に変更することで運用コストを削減しています。なお、Cloud Run はコンテナイメージを使用したアプリケーションを稼働させる場合、スケーリングなどを含めた柔軟性に優れている点や、他のサービスと比較して学習コストが低い点も大きな特徴です。
また、Compute Engine への SSH 接続に踏み台サーバーを使用する予定でしたが、こちらも再検討の上、Identity-Aware Proxy を使用した接続に変更。踏み台サーバーの構築を省略することで、コスト最適化を図りながら可用性・安定性も担保しています。
なお、上記のコストと可用性を考慮した構成内容の検討、および検証・本番環境の構築をスムーズに実行する目的で、インフラ構築は Terraform を使用した IaC(Infrastructure as Code)による構築を行ないました。
アプリの UI/UX 設計で重視したのは、現場の使いやすさに配慮しながら DX 化を進めることです。レッスンカルテの記入方法を詳しくヒアリングした結果、縦画面の上半分はテキスト入力、下半分は手書き入力可能なメモ画面を設計。手書きメモは独自にライブラリを作成し、描画のチューニングを繰り返しながら使いやすさを追求しました。
デザイン作成には Figma を使用し、各パーツをコンポーネント化したり、色のスタイルなどをデザイン開始前に細かく設定し、スピーディに作業を進めました。デザイントーンはお客様のオーダーである「親しみやすさ」「あたたかさ」「分かりやすさ」といった要素をベースに、幅広い年齢層が頻繁に使用するアプリであることも考慮し、色数を抑えて誰でも使いやすいシンプルなトーンを目指しました。
こうした開発を経て、レッスン指導者向けアプリと音楽教室会員向けアプリをローンチ。レッスン指導者は統一されたフォーマットでレッスンカルテを記録できるようになり、音楽教室会員はアプリ上でレッスンカルテをいつでも閲覧できるようになりました。そして、レッスン外の個人練習を音楽教室会員がアプリ上で記録し、レッスン指導者はアプリ上で閲覧できるようになったことで、当初お客様が抱えていた課題の解決につながりました。
今後も、インフラ構築からアプリ開発、デザインまでワンストップで提供できるアイレットの強みを生かし、豊富な技術力と知見・ノウハウを活用することで、お客様のビジネス成長を支援してまいります。
Credit
クライアント島村楽器株式会社