課題
- AI エージェントを活用したいが、開発の専門知識がなく導入のハードルが高かった。
- 社内向けに AI エージェントを作成したいが、コスト面への不安があった。
- 社内情報を AI に参照させたいが、情報漏洩などのセキュリティ面での懸念があった。
- 既存の AI エージェント作成サービスは操作が複雑で、専門知識がなければ活用が難しかった。
対応と結果
- プログラミングの知識がない非エンジニアでも、自社専用の AI エージェントを構築・カスタマイズできる環境を実現。
- フロー図を用いた直感的な UI を開発し、ルートエージェントとサブエージェントの設定を1画面で完結できる仕組みを構築。
- Agent Runtime によるサーバーレスアーキテクチャを採用し、利用時のみの課金構造とすることでインフラコストを最適化。
- Google Cloud の特定サービスに限定したデータ設計により、社内情報がモデルのトレーニングに利用されないセキュアな環境を確立。
KDDIアイレットは、自社ソリューション「かんたん AI パック」に AI エージェント作成機能を追加しました。本プロジェクトでは、Google Cloud の Agent Runtime(旧 Vertex AI Agent Engine)を活用したフロー図ベースの直感的な開発 UI を構築。プログラミングの専門知識を持たない非エンジニアでも、社内規定の問い合わせ対応や営業資料の検索など、自社の業務に合わせた AI エージェントを容易に作成・カスタマイズできる環境を実現しています。
AI エージェント作成機能の追加背景と目的
KDDIアイレットは、クラウドの導入設計から運用保守までをトータルで支援する「cloudpack」などを提供し、これまでに2,500社以上の企業における DX を推進しています。
近年、生成 AI の活用が進む中で、単なる対話型 AI に留まらず、自律的にタスクを遂行する「AI エージェント」への注目が急速に高まっています。 そこで KDDIアイレットは、既に提供している「かんたん AI パック」を拡張し、誰でも簡単に AI エージェントを作成できる環境の提供を目指しました。本機能では、エンジニアでなくともフロー図を用いて直感的に開発ができるシンプルな UI 設計を採用しています。
Google Cloud の Agent Runtime で実現する柔軟なアーキテクチャ
技術基盤として、Google Cloud のフルマネージドサービスである Agent Runtime を採用。Agent Runtime は AI エージェント専用のデプロイ環境として Google が提供するサービスであり、保守・監視の負担を最小限に抑えながら、安定した稼働を実現できます。
フロントエンドには Cloud Storage または Firebase Hosting を採用し、バックエンドには Cloud Run から Agent Runtime へリクエストを送信するアーキテクチャを構築しています。Agent Runtime からは、既存の「かんたん AI パック」で活用していた Agent Search(旧 Vertex AI Search)による社内データ検索や Google 検索によるグラウンディング機能(検索結果を回答の根拠とする仕組み)、Firestore や Cloud Storage を用いたデータ管理などの機能と連携する構成です。Google Cloud のサービスのみで完結するため、データが外部に出ない設計となっています。
また、フロントエンドにはフロー図を用いて直感的に操作ができる UI を実装。キャンバス上にノードを配置し、ルートエージェントとサブエージェントをつなぎ合わせるだけで、エージェントへの指示内容や使用する生成 AI モデルを設定できます。複雑なコーディングを必要とせず、1画面での操作が完結するため、導入後も担当者自身による継続的な編集・調整が可能です。
既存の「かんたん AI パック」をベースに提供する形態のため、スクラッチ開発に比べてスピーディな導入が可能であり、最速1か月程度での運用開始を実現しています。既存のログイン機能との連携により、新規アカウント管理の手間も不要です。
非エンジニアでも安心して使える AI エージェント導入を支えるセキュリティ設計とコスト最適化
社内データの取り扱いにあたっては、Agent Search など Google Cloud の特定サービスに情報参照先を限定する設計を採用。これにより、入力されたデータが生成 AI モデルのトレーニングに使用されることなく、社内の機密情報をセキュアに活用できます。
コスト面では、Cloud Run によるサーバーレス構成を採用しており、AI エージェントの利用時にのみリソースが消費される従量課金型となっています。利用状況に応じたコスト管理が可能なため、スモールスタートでの導入がしやすい構造です。
今回の機能追加により、プログラミングの知識を持たない非エンジニアであっても、社内規定への問い合わせ対応や営業資料の検索・要約などの業務に合わせた AI エージェントを、自社内で継続的に構築・運用できる環境を提供することが可能となりました。
「かんたん AI パック」は、今後も API 連携や定期実行、MCPを使った拡張などユーザーが使いやすくなる機能の拡充を予定しています。AI エージェントの活用を検討されている方は、ぜひ KDDIアイレットへお気軽にご相談ください。
(使用プロダクト)
- ・Cloud Run
- ・Agent Runtime
- ・Agent Search
- ・Cloud Storage
- ・Firestore
Credit
クライアントKDDIアイレット株式会社