生成 AI で新卒育成の「伴走力」を強化。週報の読み解きを AI がサポートし、一人ひとりに寄り添う育成体制へ

アイレット株式会社

https://www.iret.co.jp/

システム開発

アイレット株式会社

課題

  • 新卒社員の受け入れ人数が年々増加する一方、週報を確認する育成担当者の人数は変わらず、一人ひとりの記載内容を深く読み解く時間が不足していた。
  • 週報の確認における判断基準に担当者ごとの主観が入りやすく、フィードバックの品質にばらつきが生じていた。
  • 今まで通り手厚くフォローは維持しつつも、育成担当者の業務過多を軽減したい。
矢印

対応と結果

  • 週報の形式的な確認作業を AI に委ねることで、月あたり約16時間の工数を削減し、育成担当者が入社後の悩みや理解が追いついていない点を補足できる時間を創出。
  • AI による一次レビューで客観的な視点を加えることにより、担当者間のフィードバック品質のばらつきを軽減。
  • 統一された確認項目をもとに AI がチェックを行ない、育成担当者の判断材料として活用できる環境を整備。
  • Backlog から週報を自動取得し、一次レビュー結果を Google スプレッドシートへ出力する仕組みを構築。
  • Google Cloud の特定サービスに限定したデータ設計により、社内情報がモデルのトレーニングに利用されないセキュアな環境を確立。

アイレット株式会社は、新卒社員の受け入れ人数が年々増加する中で、育成担当者が一人ひとりに寄り添ったフォローを行なうための時間を確保するため、Google Cloud の生成 AI 技術を活用した週報の一次レビューシステムを開発。形式的な確認作業を AI がサポートすることで、育成担当者が個別面談や細かなフォローに注力できる体制づくりを実現しました。

新卒社員の週報レビューに AI を導入。増え続ける受け入れ人数に対応し、育成担当者が一人ひとりに向き合う体制を強化

アイレット株式会社(以下、アイレット)では毎年約50名の新卒社員が入社し、入社後の研修期間中は週報を通じて日々の学びや課題を報告しています。週報は、新卒社員がビジネス文書の作成力を養う場であると同時に、育成担当者にとっては一人ひとりの状況を把握するための重要な情報源です。

しかし、受け入れ人数が年々増加する中で、約50名分の週報に目を通すだけでも1日あたり約2時間、月換算で約16時間の工数がかかり、提出期限の遵守やビジネス文書としての体裁など、形式面の確認に多くの時間を費やしていました。その結果、文章の端々に表れる小さな悩みのサインや成長の変化を丁寧に読み解き、適切なタイミングでフォローにつなげることが難しい状況にありました。

Google Cloud の ADK を活用し、既存の業務フローを変えずに AI による一次レビュー基盤を構築

こうした背景を踏まえ、アイレットでは Google Cloud の Agent Development Kit(ADK)を活用した週報の一次レビューシステムを開発しました。新卒社員が普段通り Backlog に週報を投稿すると、システムが Backlog API 経由でデータを自動取得し、AI がビジネス文書としての体裁や記載内容の充実度をチェック。その結果を Google Sheets API および Google Drive API を介して、育成担当者が日常的に使用している Google スプレッドシートへ自動で出力します。

AI の役割は、あくまで育成担当者の「読み解き」をサポートすることにあります。週報の形式面を AI が一次的に確認し、着目すべきポイントをコメントとして提示することで、育成担当者はその情報を参考にしながら、自らの目と経験で最終的な判断を行ないます。これにより、育成担当者が対面の面談や日々のコミュニケーションを通じて、主観的な判断だけでなく、客観的な判断をもとに細かなフォローをしていくことが可能になりました。

本システムの利用に際しては、新卒社員は従来通り Backlog に投稿し、育成担当者は Google スプレッドシートを確認するだけのため、新たなツールの学習コストは発生していません。既存の業務フローをそのまま活かしながら AI を組み込んだ点が、本システムの特長となっています。

開発にあたっては、AI に週報の文脈を正しく理解させることを工夫しています。たとえば、研修期間中に「ビジネスマナーを身につける」と書かれた目標は、一見すると適切に見えますが、その週の研修スケジュールをなぞっただけの記述であり、新卒社員自身が課題を認識して主体的に設定した目標とは異なります。こうした文脈の違いを AI が適切に判断できるよう、プロンプトの設計を繰り返し調整しています。

また、約50名分の週報データを安定的に処理するため、ページネーション処理による分割取得を実装。提出日のばらつきや日付の表記ミスといったイレギュラーに対応する個別実行機能も備え、全員分のレビューを確実に完遂できる仕組みとしました。これらの処理は Cloud Run 上で稼働するシステム上で実行され、Vertex AI と連携することで AI による分析を実現しています。

本システムの導入により、形式的な確認作業に費やしていた月約16時間の工数が削減され、育成担当者は新卒社員との面談や個別フォローにより多くの時間を充てられるようになりました。また、AI が統一された基準で週報を確認することで、担当者間のばらつきが軽減され、フィードバックの一貫性向上にもつながっています。

今後は、週報の文章に表れる小さな変化や悩みのサインを AI が拾い上げ、育成担当者に早期に共有する「先回り型サポート」の仕組みも構想されています。アイレットでは、Google Cloud をはじめとしたクラウドサービスと AI を組み合わせた業務改善の支援を行なっています。社内業務の DX や AI 活用をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

(システム構成図)
システム構成図:Backlogから週報データを取得し、Cloud Run上のADKとVertex AIで分析、結果をGoogleスプレッドシートへ出力する連携図

使用プロダクト

  • ・Google Cloud
    • Cloud Run
    • Vertex AI
    • Google Sheets API
    • Google Drive API
    • Agent Development Kit(ADK)

Credit

クライアントアイレット株式会社